愛情の問題
後述の「イザベル・カロの場合」を参照していただければ一目瞭然ですが、愛情の問題は、摂食障害と
非常に密接な関わりを持つことがあります。
母親は、娘であるイザベルに、いつまでも子供でいて欲しかったのですが、そのことを真に受けた
イザベルは、母からの永遠の愛情を手にするために、成長を拒むようになりました。
自分が成長しなければ、母親は永遠に自分を愛してくれるような気がして、食べることをやめて
しまったのです。
愛情の問題はまた、別の形で新たな摂食障害患者を生むこともあります。
親が子供に対して十分な愛情を注いでいない、或いは愛情を示さない場合、子供はどうしても
親の注意を引きたくなるものです。
その手段の一つが摂食障害、というケースがあります。
食べることを拒否することで、親に心配されたい、親に振り向いてもらいたい、という意思表示を
するのです。
普通の親なら、子供が風邪をひいて食欲をなくすだけでも、随分心配することでしょう。
そして、心配されている子供のほうも、そこで愛情を確認することができています。
対人関係の限られている子供にとって、親が一番の愛情の対象なのですから、気を引くために
必死になるということも理解できます。
子供にとって、正しく愛されることが、今後の心身双方の健康状態の鍵になる、ということが
言えるでしょう。